生後9ヶ月や1歳から、飲むことができるフォローアップミルクですが、離乳食をしっかり食べていれば必要ないって、思っていませんか?
実は、離乳食をしっかり食べていても、栄養不足になっている場合があるんです。
そもそも、フォローアップミルクって何?
牛乳と何が違うの?
という素朴な疑問を押さえつつ、フォローアップミルクが必要な場合と必要でない場合について、まとめました。
フォローアップミルクの必要性
フォローアップミルクの必要性を考える前に、そもそもフォローアップミルクは、なんのためにあるのでしょうか?
フォローアップミルクの役割を知れば、
「牛乳が飲めれば、フォローアップミルクはいらない」
「離乳食をしっかり食べていれば必要ない」
と、よく言われることは、間違いだということがわかります。
フォローアップミルクの役割
フォローアップミルクは、離乳食をスタートした赤ちゃんのための調整粉乳です。
離乳食だけでは摂りにくい栄養を、補うために使用します。
そのため、生後9ヶ月から飲めるフォローアップミルクもありますが、離乳食があまり進んでいない場合は、バランスよく栄養が摂れる育児用ミルクの方が適している場合があります。
フォローアップミルクの特徴
フォローアップミルクは、鉄やカルシウムなど、離乳食では補いにくい栄養を多く配合しています。
反対に、糖質や脂肪分は少なく、育児用ミルクよりも甘さ控えめの商品が多いです。
母乳や牛乳には、鉄の含有量が少ないため、離乳食でしっかり摂らなければいけません。
ですが、食事だけでは十分な鉄を摂取できていない現状です。
乳幼児の鉄不足問題
乳幼児の鉄の摂取量は、推奨量に足りていません。
厚生労働省が推奨する1歳~3歳までの鉄の推奨摂取量は、
4.5mgです。(1日あたり)※1
実際には、どれくらい摂れているかというと、
1歳~3歳までの鉄の摂取中央値は、
3.3mgとなっています。(1日あたり)※2
実際の摂取量ー推奨量
=3.3mgー4.5mg
=ー1.2mg
つまり、1.2mg不足しているということです。
摂取の中央値の値なので、これより多い子供もいれば、少ない子供もいるわけですが、全体的に見ると不足しているということがわかります。
※1日本人の食事摂取基準(2015 年版)
※2平成24年国民健康・栄養調査報告
乳幼児は鉄欠乏症になりやすい
なぜ、数ある栄養の中で「鉄」に注目し、大事なのかというと、乳幼児は鉄不足になりやすいためです。
鉄が少ない状態を、鉄欠乏症といいます。
鉄欠乏症は、発育の盛んな生後9ヶ月~2歳頃と思春期に起こりやすいです。
赤ちゃんは、母親からもらった鉄を蓄えた状態で生まれてきます。
その後、蓄えた鉄は徐々に減少していき、食事から鉄を摂取していくことになります。
そのため、鉄が不足しやすくなってくる離乳食後期以降(生後9ヶ月~)は、積極的に鉄の豊富な赤身の肉や魚、レバーを離乳食に使用することが望ましいです。
乳幼児の鉄欠乏症の症状
乳幼児の鉄欠乏による貧血は、ゆっくり進行するためわかりにくです。
重症化してくると、顔色が悪い、食欲がない、生気がないといった症状も出てきますが、それまでの段階では親も医師も気づかず、検診などで発覚する場合も多いといいます。
その他の症状としては
・わずかな刺激でも泣いてしまう
・落ち着きがない
・周囲への無関心
などの様子が見られることもあります。
また、近年の研究では、乳幼児の鉄不足は、体の成長や精神発達にも影響を及ぼす可能性が指摘されています。
鉄欠乏症になりやすい子供
乳幼児の中でも、とくに鉄欠乏症になりやすい子供がいます。
早産の子供や、小さく生まれた子供、妊娠時に胎盤の働きに障害があったとき(妊娠高血圧、 母体糖尿病、胎児発育不全など)
赤ちゃんは、母親のお腹の中にいるときに鉄をもらいますが、なんらかの原因により鉄が十分にもらえないと、鉄欠乏になりやすいと言われています。
母乳栄養メイン
母親からもらった鉄は、生後6ヶ月くらいになると、なくなってきます。
母乳にも鉄が含まれていますが、量が少ないので離乳食からしっかり摂らなければいけません。
しかし、離乳食が進まず、離乳食後期になっても母乳栄養主体となる場合、鉄欠乏に注意が必要です。
牛乳をたくさん飲ませている
牛乳にも鉄が含まれますが、含有量が少なく、吸収率も低いです。
牛乳の量が多すぎる場合、それだけでお腹が一杯になり、離乳食からの鉄摂取が減ってしまいます。
離乳食だけでは鉄分不足なる?
離乳食から鉄を十分に摂ることはできないのでしょうか?
鉄の多い食材としては、赤身の肉、魚、レバーなど挙げられ、これらの食材を積極的に使うことが、『授乳・離乳の支援ガイド』でもすすめられています。
でも、実際に毎日赤身の肉やレバーを食べさせられないですよね。
現実的には、必要な鉄の量を離乳食だけから摂るのは、離乳食期の子供には難しいでしょう。
遊び食べをしたり、好き嫌いがあったり、親としても毎日レバー料理はできないですし。
(小松菜やほうれん草、大豆なども野菜の中では鉄が多いですが、植物性の鉄は吸収率が低いです。)
多くの子供が、鉄不足であっても元気よく動き、具合も悪くはありません。
貧血の症状が現れるのは、もっと鉄不足が進行してからです。
フォローアップミルクは必要か?
フォローアップミルクは、必要か必要ないか?それぞれの家庭で考えが違うと思います。
我が家の場合
我が家の場合は、必要と考え、1歳4ヶ月ですが、フォローアップミルクを飲ませています。
一応、2歳までは続ける予定です。
息子の場合、6ヶ月から完全ミルク(育児ミルク)になり、1歳からフォローアップミルクに移行しました。
離乳食はとてもよく食べる方ですが、鉄不足が気になったので。
一応、栄養バランスに気をつけているつもりですが、どう計算しても鉄が足りないんですよね。
ベビーフードも利用しますが、材料にレバーを使っていても鉄の含有量が表記していないものが多く、鉄が入っているといっても、気休め程度?のような気がします。
乳幼児用お菓子にも鉄を強化しているものがありますが、こちらも鉄含有量がわからないものが多いです。
そのため、毎日、確実に手軽に鉄を摂る方法として、フォローアップミルクを選択しました。
フォローアップミルクなら、100mlでこれくらいなど、どれだけ鉄が摂れるかはっきりわかって安心できます。
ミルク缶には、月齢別の推奨量が書いてありますが、不足分だけを補えばいいので、量を調節して飲ませています。
フォローアップミルクと牛乳との違いは?
フォローアップミルクと牛乳との違いは、「鉄の含有量」と「吸収率」が大きく違います。
フォローアップミルクの鉄含有量は、同量の牛乳の約50倍です。
また、吸収率は、牛乳が3~10%に対して、フォローアップは20~30%と、フォローアップミルクの方が、効率的に鉄を吸収できます。
また牛乳は、たんぱく質が多いので、大量に飲むと胃腸に負担がかかりますが、フォローアップは脂肪分を調整されているので、安心です。
母乳では鉄はとれないのか?
母乳は、鉄の吸収率が約50%と、牛乳やフォローアップミルクと比べるととても良いです。
しかし、含有量が極めて低いため、母乳だけでは全く必要量に届きません。
そもため、母乳育児の場合は、特に離乳食で鉄をしっかり摂ることが大事になってきます。
フォローアップミルクは必要ない場合は?
離乳食で鉄分を十分に摂れている場合、フォローアップミルクは必要ないかもしれません。
鉄を多く含む食品には、赤身の肉や魚、海藻などがあります。
ベビーフードのレバーペーストが入ったものもよいですが、鉄含有量が表示されているものを選びましょう。
また、乳幼児用のシリアルやビスケットに、鉄が強化している食品もあります。
こういったものを利用するのも一つの方法です。
まとめ
全体的に見ると、1歳~3歳までの子供の鉄摂取量は不足しています。
フォローアップミルクが必要かどうかは、離乳食の進み具合や、その内容(鉄がしっかり摂れているか)を基準に考えるとよいでしょう。