私は小さい頃にアトピーだった妊婦です。
現在でも肌が弱く、季節の変わり目には全身痒くなったり、妊娠中にも何度か皮膚科にお世話になっています。
ふと、私のアトピーがお腹の赤ちゃんに遺伝したらどうしよう?><
と、心配になってしまいました。
親がアトピーの場合、生まれてくる子供にアトピーが遺伝する確率はどのくらいなのでしょうか?
また、妊娠中にできる予防方法はあるのでしょうか?
アトピーが遺伝する確率は?
アトピー性皮膚炎と遺伝について、厚生労働省から出されている資料を元にまとめました。
アトピーって遺伝するの?
アトピー性皮膚炎は、個人の素因といろいろな環境因子が合わさって発症すると考えられています。
遺伝子要因と、発症・悪化要因です。
遺伝子要因
遺伝子要因とは、両親ともにまたはどちらかにアトピー性皮膚炎の経験がある場合、アトピーを発症したことのない両親の子どもに比べ、生まれてくる子供にアトピーが出やすいというものです。
発症・悪化要因
発症・悪化要因とは、引っ掻きやストレス(神経要因)など、アレルギー性以外の外的な要因のことを言います。
アトピーが子どもに遺伝する確率は?
家族にアトピーの経験がある場合、子供にはどのくらいの確率で遺伝するのでしょうか?
厚生労働省によると…
その(アトピー性皮膚炎)発症に関わる素因は遺伝する傾向がみられる。例えば、両親に本症の既往がある場合は75%、両親のどちらかに既往がある場合は56%、同胞に既往がある場合は49%、家族に既往が全くみられない場合は21%の確率で子供が発症する可能性があることが推測されるとの調査報告がみられる8)。
言葉が難しいので、噛み砕いて解説しますと…
両親ともにアトピーの経験がある場合、生まれてくる子どもにアトピーが出る確率は75%、両親どちらかにアトピーの経験がある場合は56%、兄弟姉妹にアトピーがある場合は49%、家族にまったくアトピーが見られない場合は21%で発症する可能性があるということ。
つまり…
両親ともにアトピー:75%
両親どちらかにアトピー:56%
兄弟姉妹にアトピー:49%
ということで、かなり高い確率で遺伝することがわかります。
現在アトピーの症状がなくても、子供の頃にアトピーだった経験を含みます。
我が家の場合、私だけがアトピーなので、56%…つまり、半分以上の確率で赤ちゃんにアトピーが出てしまうことになります。
ただ、両親ともにアトピーでなくても、赤ちゃんのお兄さんお姉さんになる兄弟姉妹にアトピーがあれば、約半分の確率で下の子もアトピーなのですね。
さらに、家族に誰もアトピーの人がいなくても、発症する確率が21%あるので、遺伝だけでは決まらないともいえます。
私の家族には、私以外にアトピーの人はいません。兄がいますが、肌は強いですし、他の食物アレルギーなど、アレルギーの人もいないんですよね。
昔はアトピーの患者はいなかったといいます。生活習慣や食べ物、社会環境の変化など様々な要因が考えられ、これが原因というものはありません。
アトピーの遺伝 母親と父親の影響力に差はある?
ちなみに、母親と父親どちらにアトピーを持つ方が、生まれてくる子供に対して影響しやすいのでしょうか?
調べてみましたが、母親と父親で影響力に差があるかどうか、どちらに強い影響力があるのかは、現在のところはっきりしていないようです。
アトピーが遺伝しなかった人もいる?
両親ともにアトピーがあっても25%の確率で遺伝しませんし、両親にどちらかにアトピーがあっても44%の確率で遺伝しません。
「私も夫も子供の頃からアトピーがあります。現在2人の子供がいますが(5歳と3歳)、 2人ともアトピーは出ていません」
「主人がアトピーと喘息で、上の娘はアトピー、息子には遺伝しませんでした」
「私も子供の頃アトピーでしたが、子ども達にはアトピーは出ていません」
など、自分がアトピーやアレルギーがあっても、子どもに遺伝しなかった方もいらっしゃいます。
アトピーは妊娠中の食事で予防できる?
遺伝的な要因は仕方がないとして、妊娠中の食事でアトピーなどのアレルギーを予防することはできないのでしょうか?
妊娠中・授乳中の食事制限とアトピー発症
以前までは、妊娠中・授乳中の食事制限(卵・小麦・牛乳などのアレルゲンの除去)がアトピー性皮膚炎発症予防に有効ではないか?と、考えられていたこともありました。
しかし現在では、「妊娠中・授乳中の食事制限は児のアトピー性皮膚炎の発症予防に有用ではない」と、結論付けられています。
(参考:日本皮膚科学会ガイドライン「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016 年版」)
しかも、妊娠中に食事制限をすると十分な体重増加ができず、未熟児の発症リスクの増加など、生まれてくる赤ちゃんの栄養状態の悪化させる可能性もあります。
妊娠中の食事とアレルギーについては、こちらの記事も参考にどうぞ。
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注目されるプロバイオティクスによるアトピー発症予防効果
プロバイオティクスは、ヨーグルトや乳製品飲料、乳製品食品で摂取することができます。
最新の研究によって、プロバイオティクスによるアトピー性皮膚炎の予防効果が世界的に注目されています。
プロバイオティクスの投与時期については、妊娠中および、出産後の乳児に投与する方が改善効果が高いという研究報告があります。
しかしながら、腸内フローラの状態は、それまでの文化や食生活の影響を受けるため、さらに大規模な研究が必要です。
おわりに
家族にアトピー性皮膚炎の人がいると、高確率で赤ちゃんにも遺伝します。
ただ、遺伝だけが全てではなく、環境も関係しますし、特に生まれてすぐから保湿は重要です。
プロバイオティクス(人に有益な働きをする生きた微生物)の働きも注目ですね!
次回は、妊娠中に腸内環境を整える方法について、お伝えします。
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