妊娠中に気をつけたい感染症の1つにトキソプラズマ症があります。
トキソプラズマに感染した猫に接触したり、生肉や加熱が十分でない肉を食べたり、土いじりをしたりすることで感染するとされています。
今回はトキソプラズマに感染した場合の潜伏期間や、感染した場合の症状、胎児への感染率についてお伝えします。
トキソプラズマ症の潜伏期間
トキソプラズマ症の潜伏期間はこちらです。
① ネコの糞便中のオーシスト:5 ~ 20 日
② 食肉中のシスト:10 ~ 23 日
③ 胎児への感染:妊婦感染後 1 ~ 3 日で胎盤移行し、胎児に感染引用:新世紀・「One Health」としてのZoonosis〈第34回〉
古くて新しいトキソプラズマ症① 後を絶たない先天性トキソプラズマ症
オーシストとはトキソプラズマの卵のようなものです。
このオーシストを食べることによって、他の動物や人間は感染してしまいます。
感染した動物の筋肉で形成されるた嚢のことシストと呼びます。
人への感染は、感染しているネコとの接触やガーデニングによる接触、また、生肉や加熱が不十分な肉を食べることによって、感染するとされています。
生肉やレアな肉を食べて感染が疑われる場合、食べてから2週間程度で体内の抗体が増加しますが、潜伏期間の場合があります。
確実な検査結果を得たい場合は1ヶ月程度経過してから検査すると確実です。
トキソプラズマの症状 妊娠中は?
トキソプラズマに感染すると、どの様な症状があるのでしょうか?
実はトキソプラズマは、健康な成人が感染したとしても症状が出ないことが多く、出たとしても風邪のような軽度なものがほとんどです。
発熱、リンパ節膨張、倦怠感、筋肉痛、まれに発疹の症状が出ることもあります。
トキソプラズマの胎児への感染率
妊娠中に初めてトキソプラズマに感染した場合、胎児への胎盤感染率は、約40~50%とされており、そのうちの10%が発症するという報告があります。
妊娠中の初感染は、流産や死産、早産につながることもあります。
トキソプラズマ症による流産は推定で年間300人とされていますが、実際の報告は年間2~4例です。
まとめ
日本人女性の場合、妊娠前から抗体を持っていない人がほとんどです。
「これまで生肉を食べても全く感染をしなかったから大丈夫だろう」と考えるのは危険です。
妊娠中は免疫機能が低下するため、今まで大丈夫だった病気にもかかりやすくなります。
妊娠中に初感染した場合、生まれてくる赤ちゃんに重い症状をもたらしてしまう恐れもあります。
妊娠初期だけでなく、妊娠中の全期間を通して気をつけた方がよいですね。